コーヒーノキ(植物としてのコーヒーの呼び名)は通常、年に1回花を咲かせ、
やがて果実を実らせます。その果実を摘み取り、生産処理といわれる
精製過程を経て緑色をしたコーヒー生豆となり、日本へやってくるわけですね。
で、私は年末〜年明け〜初春にかけてSNSを開く時、ちょっとドキドキしています。
それは、情報を多く発信してくれる生産者の多い中米地域が、コーヒーの収穫期を
迎え始めるからです(笑)!
(via from Microbeneficio Monte Copey)
↑こんな写真とかFacebookにUPされちゃうんですよ!
代表的な産地の収穫期
(via from Microbeneficio Monte Copey)
スペシャルティコーヒーの代表的な産地、中米、南米、アフリカ、インドネシア。
それらの生産地の主な収穫期をいくつか挙げておこうと思います。
気候の変動、地域差はもちろん年ごとにありますので、おおまかな目安です。
・中米:10月〜翌年3月
・南米:4月〜9月
・赤道直下:4月〜6月、10月〜12月 ※気候の関係で年に2回収穫可能
・アフリカ(その他):3月〜6月
コーヒーの収穫の特徴
コーヒーの収穫は、なかなかユニーク。
ここでは「スペシャルティコーヒーを作る」ということを目的にした場合のお話を
しようと思います。スペシャルティコーヒーを作るには、まずコーヒーノキの果実
である通称「コーヒーチェリー」をしっかりと熟させる、ということが重要ですね。
そして熟した果実だけを摘み取る、セレクティブ・ピッキングという作業が不可欠です。
これには経験が必要で、ベテランのピッカー(収穫労働者)とビギナーのピッカーでは
給料に差が出るほど、人によって差がでてしまうものなんですね。
で、熟すタイミングが一定であれば収穫も多少楽になるのですが、コーヒーチェリーが
熟すタイミングは花の咲く時期によって変わるうえ、花が同時期に一斉に咲くのは
まれなため、同じ木・同じ枝でもコーヒーチェリーの熟度に差が出てしまうのが普通なのです。
ですので一般的に、収穫期は3ヶ月ほどとって、1ヶ月に1回収穫をする、というのが
よくあるコーヒーの収穫サイクル、となっています。
収穫時期とカップクオリティ
おもしろいことに、同じように完熟チェリーだけを収穫してコーヒーを作っても、
収穫した時期によってカップクオリティが違う、ということもよくあります。
よくいわれているのは、たとえば3回収穫があったとしたら、最盛期である2回目の
収穫で作ったロットが、質・量ともに安定して高い、ということ。
収穫し始めと収穫し終わりは、どうしても完熟に見えても未熟なチェリーが混ざりやすい
傾向にある、というのが理由だそうです。
しかしまぁ、これも神話みたいなものでその年や農園ごとによって違います。
意外と収穫初期のロットが悪くない、ということもままありますので、あまり
先入観を持ってしまうのは良くないですね。
収穫してからのコーヒーの流れ
(via from Microbeneficio Monte Copey)
さて、そうやって収穫されたコーヒーは生産処理されてまずはドライパーチメントの
状態にまで加工され、輸出業者に納められます。バイヤーはだいたい輸出業者の
オフィスを訪れ(産地やバイヤーによってこのあたりは異なります)、その年採れた
コーヒーのクオリティチェック、そして買い付けを行うわけです。
そして買い付けられたコーヒーは数ヶ月「レスティング」といわれる休眠期間を
経て水分の移動を安定させたあと、脱穀されて生豆になり、袋詰・コンテナ詰め
され、日本にやってくる、というわけですね。ここに至るまで収穫されてからおよそ
半年くらいの日数がかかる、ということになります。
去年採れたコーヒーもまだ全部味わっていないうちからこういうことを言うのもあれ
なんですが(笑)、毎年この時期はきたるニュークロップの出来が非常に楽しみになる
時期なんですよね。
今はSNSはじめインターネットが発達していますので、やろうと思えば誰でもリアル
タイムで産地で今どういうことが起こっているのか、ということを知ることができます。
時々はそうやって、自分が飲んでいるコーヒーがどうやってやってきているのか、
ということに思いを馳せるのもわるくないんじゃないでしょうか。