丸山珈琲さんの話題が続きます。
ついに、『M-カーブタンパー』の一般発売が開始されました!
本当に優れもののタンパーです。
■本日発売! Caf醇P&Restaurant 2011年 1号
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■M カーブタンパー 高ポリ 丸型 58.0
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すでに上記リンクでその特徴、魅力はほぼ語られてしまっているのですが、ここでは私の言葉で語ってみたいと思います。
いままで、コーヒーをドーシングし、タンピングで押し固めるのに、細かい技術的なことがあまり語られることはありませんでした。もちろん競技会やバリスタ同士の交流の中で、その秘密が語られることはあったかもしれません。このタンパーの登場は、そこで語られていたことを明らかにするとともに、これからのエスプレッソ抽出に、革命をもたらすことになる、と期待しています。
エスプレッソの抽出でバスケットの中に起こることを順に説明したいと思います。
まず、コーヒーの粉をバスケットに均一に押し固めることに成功したとします。そしてその押し固めたコーヒーパックに対して、シャワーヘッドから均等な圧力でお湯が降り注ぐ、と仮定します。その際お湯はコーヒーの層をどのように通過するでしょうか?均一に通過するでしょうか??
答えはNo、です。
圧力がかかったお湯は、基本的にコーヒーパックの弱いところ(薄い・固め方が弱いところ)へまず、集中的に流れていきます。均一に押し固められたコーヒーパックにも、その弱いところは存在します。コーヒーと、フィルタバスケットの接合面です。金属との接触面だけは、避け様のない弱い場所、だったのです。
よって、エスプレッソの抽出は周辺部から始まります。ボトムレスのポルタフィルタで抽出した動画をご覧になると、分かりやすいと思います。
余談になりますが、ポルタフィルタをノックする癖は、このような理由からやめたほうが無難です。衝撃を与えることで、密着していた接合面が剥離してしまいます。
バスケット内で均一に、お湯を浸透させ、抽出すること、これがドーシング、タンピングに求められることだったのです。
通常のベース面がフラットなタンパーでは、この現象を防ぐために、ドーシングの際、周辺部に粉を盛るようなすりきり方をする方が多いのではないかと思います。お湯が通りやすい周辺部を厚くすることで、進みやすい抽出を妨げるようにする、というのが目的です。しかし、この技術習得には慣れが必要です。
Mカーブタンパーは、この仕事をタンパーがやってくれます(ガード面)。粉を詰めて水平にすりきり、タンピングすれば自動的に、周辺部に土手を作ってくれるのです。しかもフラット面が残されているので、バリスタは水平かどうかを感触で判断することが出来ます。これが従来のカーブタンパーとは違う、優位なところです。
タンパーが、バリスタの仕事を奪った、というのは正確な言い方ではないですね。誰でも、比較的簡単に、安定した抽出の結果を得られる。これがMカーブタンパーの優れた特徴でしょう。優れた道具は人のストレスを減らし、素晴らしい結果へ最短距離で導いてくれます。このタンパーは、そんな優れた道具の一つでしょう。
私はこのタンパーを使うようになって、劇的にエスプレッソの抽出状態、クオリティが変化しました。安定して、スムーズにスパウトを伝って落ちてくることが殆どです。そして抽出後のパックの状態も良好。周辺部はがっちりガード、フィルターにぴったり張り付いています。たかがタンパー、されどタンパー、自分の手の延長として、素晴らしい結果をもたらす最高のバリスタグッズのひとつです。少ロット生産で、手元に届くまで少し時間のかかるケースもあるそうですが、ご興味のある方は、ぜひ。
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