Cup of Excellence のカッピングフォームと品質基準の補足その4です。
今回はアシディティ、酸の質についてお話します。
■Acidity
酸の質
this is what brightens a coffee.
これはコーヒーを輝かせるものです。
It gives life.
コーヒーに命を与えます。
In wine it is often referred to as nerve (nervosit醇P in French), backbone or spine.
ワインにおいては、神経と言われ、味わいの背骨、軸です。
+ lively refined firm soft having spine crisp structure racy
+ イキイキしている、洗練されている、引き締まっている、
柔らかい、背骨がある、爽やか、構造的、独特の風味がある
– sharp hard thin dull acetic sour flabby biting
– 鋭い、硬い、薄い、無味乾燥、すっぱい、締まりが無い、刺激的である
アシディティ、コーヒーの持つ酸味ですが、
先日のスイートネス、甘さの記事でも触れたように、
スペシャルティコーヒーの酸味はフルーツにも似た印象をもっています。
カッピングで評価するポイントは「強さ」「質」ですが、
この2項目は完全に別物です。まず「強さ」がどれくらいかを判断し、
強さの概念を頭から取り除いて、質を判断していきます。
点数は、その「質」のみを評価して付けられています。
コーヒーの酸味は、コーヒーの味の中核を担っているといっても過言ではありません。
酸味が味の輪郭を構成し、爽やかさや、明るさを生み出しています。
良いコーヒーは、酸味の印象が、温度の低下につれて、多種多様なフルーツを思わせます。
温かい時は柑橘系で、次第に甘酸っぱい赤いフルーツ、ラズベリーやレッドアップルのような印象や、
さらに甘いピーチやアプリコットなどのストーンフルーツに変化していくコーヒーもあります。
逆に温かい時から冷める時まで、一貫した印象を保つコーヒーもありますね。
しっかりと芯の通った酸味も、素晴らしい印象度をもっていることがあります。
「コーヒーの酸味が苦手」と仰る方が時々いらっしゃいますが、
「フルーツの酸味が苦手」と仰る方はほとんどいないのではないか、と思います。
スイートネスと関わっているということも一因ですが、はっきり言ってしまえば、
スペシャルティコーヒーは、一般的な(コマーシャル/コモディティ/メインストリーム)コーヒーとは、
完全に一線を画する、別の液体である、ということです。
ぜひ、スペシャルティコーヒーの明るく爽やかな、フルーツのような酸味を味わって欲しいと思います。
アシディティの、フレーバープロファイルでの表現はそれこそ星の数ほど!
点数の高いコーヒーほど、多種多様なフルーツの印象を思わせます。
いくつかのグループに分けて表現していけばいいのではないかと思います。
スイートネスやフレーバーとも関連するところがあるのですが、
柑橘類、赤いフルーツ、黄色いフルーツ、黒いフルーツ、トロピカルフルーツ、ストーンフルーツ、
といった様なフルーツの系統立てと、
明るい:暗い、軽い:重い、派手:繊細、酸っぱい:甘い
といった様な質の分類で、ある程度整理して覚えていけば、表現しやすいのではないでしょうか。
最後に私が特に、個人的にアシディティで感動したコーヒーを挙げたいと思います。
パナマのエスメラルダ農園や、グアテマラのエル・インフェルト農園、ホンジュラスのモゴラ農園、
ブラジルのカルモデミナス地方、エチオピアのイルガチェフ地方、ケニアのニエリ地方、
コロンビアのウィラ、コスタリカのタラス地域、グアテマラのウエウエテナンゴ、
他にもまだまだたくさんありますがひとまずこれくらいにしておきます。
どれもこれも素晴らしいアシディティを持っているコーヒーたちで、
自身のカッピングにおいて、表現の仕方や、面白さ、また難しさを学んだ、素晴らしいコーヒーたちです。