コーヒーは、安い。

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コーヒーは、安い。琥珀色のウタカタSacks of Coffee
Sacks of Coffee / beyond20khz

コーヒーを1ポンドあたりいくらで買い付けているのか、ということは、カップ・オブ・エクセレンス等のオークションを除けば、ほとんど表沙汰になることはありません。コモディティコーヒーであれば、取引市場を見てみれば今日はポンドあたりいくら、ということは分かりますが、ことスペシャルティコーヒーに関しては相場が存在しないかのように、傍から見ていると感じることもあります。

ノルウェーのティム・ウェンデルボウは、同名のスペシャルティコーヒーロースターの経営者でバイヤーですが、今年6月に買い付けたコロンビアのフィンカ・タマナでの買い付け価格を公開しているので一例として皆さんにも紹介したいと思います。

 

FOB価格3.76ドルの内訳

元エントリは以下。
Tim Wendelboe ≫ Blog Archive ≫ Coffee is cheap
Tim Wendelboe ≫ Blog Archive ≫ Coffee is cheap, part 2

ティムは、FOB価格でポンドあたり3.76ドルを支払っています。
その内訳はこのようになっているとのこと。

・Out of this price, Elias (the farmer) ended up with a total of USD 2.73 per lb.
農園主の取り分:2.73ドル

3.76ドルのうちの約7割が農園主の取り分になります。
ここからピッカー(収穫労働者)への人件費や、肥料等の費用を賄います。
残りの約3割、1.03ドルの内訳は以下のようになっているとのこと。

・45 cents went to the exporter
輸出業者に支払う費用:45セント

コロンビアでコーヒーを輸出する業者にはライセンスが必要で、 サンプルの送付費用、
ドライミルにコーヒーを輸送する費用、 ドライミルから港までの輸送費用、農園への融資、
といったことに使用されるようです。

・Coocentral (the cooperative Elias has chosen to work with in Huila) charged 7 cents
農協(Coocentral)への支払い:7セント

農園が所属する組合が農園に融資したり、保管・品質管理をしたりするための費用です。

・The dry-milling costs 40 cents per lb.
脱穀のための費用:40セント

脱穀後はグレインプロ(後述)、麻袋に入れられるそうです。

・We also had to pay an additional 11 cents for grain-pro bags as this is not standard.
グレインプロバッグ:11セント

これはオプションとしてかかってくる費用のようです。
グレインプロというのは、簡単にいうと厚手のビニールバッグのようなもので、
麻袋に直接生豆を入れるよりは、鮮度をフレッシュに保つことができます。
クレーンで吊るされ、検疫の際に刺され、穴が空くこともあるようで、もうちょっと
何とかして欲しいという話も一部では聞かれますが、それでも麻袋単体よりは
品質保持に貢献しているのではないかと思います。

How good is your coffee?
How good is your coffee? / DFID – UK Department for International Development

コーヒーにかかるコストはたくさんある

New Coffee Trees
New Coffee Trees / jakeliefer

基本的にコーヒーは、生産国と消費国の経済状況が大きく異なっていますし、距離も(特に日本は)大きく離れているところが多いです。それだけに、運搬にかかわる費用がやはり少し目立っているように見えますね。それから農園の所属する共同体や業者への支払い分も含めて考えなければならない、というのがコーヒーの難しいところです。

ここでコーヒーの価格を値切ったらどうなるでしょうか?
そう、上記のような1.03ドルの諸費用は動かないので、値切った分だけ農園の取り分が減ることになります。
ティムがこの記事を書いた時のコロンビア・コモディティコーヒーの価格はポンドあたり1.7ドルとのことなので、グレインプロには入れないとしても同様に考えた場合、そこからの農園の取り分を計算するとポンドあたり0.75ドルです。相当少なく感じますよね。

手間をかけて作られたクオリティの高いコーヒーは、できるだけ高く買うべきだ、というのは簡単なことなのですが、買い付け価格が高くなるということは、消費国での末端価格も比例して高くなってしまうことを忘れてはいけません。なぜならば、輸送コンテナにかかる費用や倉庫に保管する費用、焙煎時にかかるガス代、店舗スタッフの人件費等々は別計上です。そのコストを回収するために、ざっくりみて生豆価格の2~3倍の価格がコーヒー焙煎豆にはつけられていることが多いです。「そんなこと、当たり前だ」とコーヒーに関心のある人には自明のことかもしれませんが、しかしそれ以外の、普通にコーヒーが好きな人にとっては当たり前ではないのです。

What I do have a problem with is that the most important part of the chain, the farmer,
has the highest risk (no control over coffee prices, exchange rates and the weather)
and is the only one who is not making a healthy profit.

We need to change that!

We believe the best way to do so, is to demand transparency€and pay more for quality coffee!

私が問題だと考えているのは、チェーン(コーヒーをめぐるつながり)のなかで
最も大事な農園に関わる人達が、最も大きなリスク(自分でコントロールすることが
できないコーヒー相場や為替相場、天候要因)を背負っていて、
チェーンのなかでただひとり健全な利益を得ることができていない、ということです。

私たちはそれを変える必要があります!

私たちはそうすることが最善だと信じているし、そうするためには透明性と、
素晴らしいコーヒーにもっとお金を支払う必要があるのです!

ティムのブログエントリーからの引用ですが、私もそう思います。
今回記事で紹介しているような自分たちの取引内容を公開するものは極端だと思いますが、
そのコーヒーがどういうものなのか積極的にお客様に伝えていくことで、結果としてコーヒーの価格や
その品質に納得してもらいやすくなるのは間違いないです。

いずれにしても、コーヒー生産者がいちばんリスクを取っている(改善しつつあるのはごく一部です)、
そんな状況がいいはずはありません。カップ・オブ・エクセレンスの役割はまだまだ終わらないですし、
高品質なコーヒーを作ることが、コーヒー生産者の希望となるようなコーヒー生産のありかたが
広がっていってほしいな、と思っています。

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