世界一高価なコーヒー

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世界一高価なコーヒー琥珀色のウタカタ

先日行われたグァテマラ、ウェウェテナンゴ・リベルタッド村にある世界でも有数の素晴らしいコーヒーを産出する農園、「エル・インヘルト」の2012年度コーヒーオークションの結果を見て、我が目を疑いました…
結果のお話をする前に、このオークションの概要を説明します。
2012年エル・インヘルトのオークションに出品された品種は、まずはおなじみのパカマラ種、マラゴジッペ種、ブルボン種。区画や収穫時期で分けられ、それぞれに名前がつけられています。今年はブルボン・ピーベリーと、ピーベリーではない普通のものと2種類出品しています。
それからゲイシャ種も2種類。コスタリカを経由してパナマに渡り、エスメラルダ農園で脚光を浴びた「セントロアメリカ」と、エチオピアから移入した「エチオピア」を出品しています。そしてイエメンに起源をもつモカ種。この品種はコーヒー豆がかなり小粒な品種です。

ゲイシャ種はやはり高値で、とくにエスメラルダ農園で脚光を浴びている「セントロアメリカ」は、アメリカのスタンプタウンがかなりの高値で落札しました。ついで高値はゲイシャ・エチオピア、次にパカマラ、マラゴジッペ、ブルボンと続きます。

一番高額になったコーヒーはコーヒーの三原種といわれる品種のひとつ「モカ種」のロットで、ロットサイズはわずかに8ポンド、3キロ強ほど。韓国のバイヤーが500.05ドルという、私も今まで見たことのない超々高値で落札されています。
最初に思ったのは「誰が飲むんだろう…」という疑問。日本円に直すと生豆の時点で1kgあたりざっくり10万円、100gあたりおよそ10,000円。これを焙煎豆にすると、20,000円~30,000円で販売せざるを得ないと思うんですよね。コーヒーですよ?一般人の感覚ではほぼあり得ない価格だと思います。
ただ同時に「こういう値段をつけてもいいんだなぁ」という感慨も少しあります。いいコーヒーには、それなりの値段がついてもいいと思うんですよ。いちばん透明性と客観性があるのはやはりカップオブエクセレンスですが、農園単独オークションもサンプルを希望するバイヤーに送付して、バイヤーはそれぞれそれをカッピングする機会を設けているはずです。そしてその結果とロットサイズに基づいて、入札するロットを決定するのが通常だと思います。そのなかで、いいものには入札が集中し、結果的に高値になるのが一般的です。

それにしても、他のロットとの価格差を考えると、この価格はすごいですね…
El Injerto 2012 – Internet Coffee Auction – Stoneworks.com

コーヒーはもっと高い値段をつけられてもいい、品質の高いものは高い値段で買い、次の年以降も同じように品質の高いコーヒーを作り続けてほしい、というのが個人的に高品質コーヒーの世界が進んでいくべき基本的な方向だと思っているのですが、あくまで品質あっての話で、いかに希少であろうとここまで高値になる必要があるか?という問いは当然なされるべきものであるように思います。
コーヒーの希少性によって品質の伴わない高値になっているコーヒーは、今でも少なからずあります。それでもいい人が買えばいい、結局売り方と、それに納得して購入する消費者との間の話だ、といえばそれまでなのですが、もっとそのお金を注ぐべき、貧しくともいいコーヒーを作っている小規模生産者や、資金やノウハウがあればもっともっと高品質なものを作ることができる生産者がいるはずですし、そういう生産者を発掘するプログラムとしてうまく機能しているのがカップオブエクセレンスだと思います。
エル・インヘルトと同じように農園単独でオークションをおこなっているのは、パナマのエスメラルダ農園ですが、エスメラルダは現在品評会(ベストオブパナマ)には出品せずにオークションを開いており、2012年のオークションでは平均落札価格がとんでもないことになっています。最低価格でもポンド当たり29ドル、最高価格は66ドルで、かなりの高価格帯で取引されるコーヒーになりました。
その点エル・インヘルトは最低落札価格がポンドあたり6ドルなので(それでも相場の平均からすればずっと高価ですが)、まだまだ課題はあるのかな、という印象です。エスメラルダのようになるのも時間の問題かもしれませんが。今年、エル・インヘルトは、パカマラ種をカップオブエクセレンスに出品し、しっかり入賞していますからね…去年はマラゴジッペだったのでまだなんというか、理解できたのですが、パカマラを出品してくるあたり、まだまだ価値創造の途中、といった感じなのでしょう。
ラ・エスメラルダとエル・インヘルト、次はどこが農園独自オークションを開くのでしょう。
おそらくこの流れは今後も続いていくでしょうし、カップオブエクセレンスも素晴らしいコーヒー発見の場として機能し続けると信じていますが、インヘルトとエスメラルダは今後も注目したいオークションには変わりないですね。

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