東アフリカコーヒーの“ポテト”問題

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東アフリカコーヒーの“ポテト”問題琥珀色のウタカタコーヒーには多種多様で魅力的なフレーバーがありますが、

中には人にとって好ましくないフレーバーがコーヒーから出ることもあります。


(via from A Coffee Sleuth Delves into the Mystery of “Potato Taste”)

基本的にそういったフレーバーがあるコーヒーは買い付けの対象にならないことがほとんどです。なので自分が信頼しているロースターのものであればあまり顧客の立場からは気にする必要はないのですが、中には買い付け時にはわからないものがあります。それが、“ポテト”といわれるフレーバーです。

■ポテトフレーバー

ポテトフレーバーは、焙煎の度合いにもよりますが、生のジャガイモをかじったような味を想像していただければ、それが近いと思います。焙煎が深くなると、機械油のようなフレーバーとして感じることもあります。どちらにしても、飲用する液体としては、多くの人が好ましいと感じにくいフレーバーではないでしょうか。

私が体験してきた中でこのフレーバーが出やすいコーヒーはルワンダとブルンジのものです。いずれも東アフリカの国ですね。ポテトが出ることもあることを除けば、両者とも素晴らしいフレーバーのあるコーヒーを生産している国です。個人的にも、とても魅力的なコーヒーがあると思います。しかしこのポテトフレーバーは、たとえばカップオブエクセレンスに入賞しているコーヒーでも(トップ10に入ったロットでも!)カップにあらわれることがあります。まずはポテトフレーバーが生まれる原因からお話しようと思います。

 

■ポテトの原因

コーヒーは農作物です。農作物につきものの問題といえば、気候、土壌、品種、水、農薬等々様々ありますが、ポテトフレーバーのあるところに必ず存在しているものがあります。コーヒーの実を狙う害虫です。

コーヒーに害をなす虫は何種類かいるのですが、ポテトフレーバーが出るところにいるのは「Antestia bugs」という虫。カメムシの仲間で、コーヒーの実に口吻を刺して果汁を吸います。


(via from The curse of the spud 窶髏€ Coffee & Conservation)

そしてここからは仮説になります。

仮説1.「Antestia bugs」が傷つけた傷口からバクテリアが侵入、水洗発酵時に好ましくない酵素反応が起こる

仮説2.「Antestia bugs」が果汁を吸うことによりコーヒーの木の実の糖度が低下、それに由来する好ましい香気成分が減少、それに由来しない香気成分(コーヒーにはもともとポテトフレーバーの原因になる成分が含まれている)の割合が増加

仮説3.「Antestia bugs」が果汁を吸うことでコーヒーノキが防御反応としてポテトフレーバーの原因になる成分を生成する

 

代表的な仮説はだいたいこの3種類です。詳しい話が知りたい方はぜひ下記リンクをの英文をお読みください。
■€A Coffee Sleuth Delves into the Mystery of “Potato Taste”
■€The curse of the spud 窶髏€ Coffee & Conservation

そして上記3種類の仮説が複合している可能性も述べられています。いずれにせよ、「Antestia bugs」という虫がポテトフレーバーの発生するコーヒー産地にはほぼ必ず見られることから原因の一端はこの虫が担っていそう、というところまではわかっており、そこから先は研究待ち、という状況のようです。

 

■ポテトの困ったところ・もしポテトが出たら
上記の理由から防虫をしっかり行うことで軽減されてきていますが、それでも完璧にポテトをなくすことはできていません。さらに困ったことに、ポテトフレーバーは生豆の見た目ではほぼ判別不能、というのがかなり厄介な代物なのです。
ポテトフレーバーの判別ポイントは焙煎時、焙煎コーヒー豆のグラインド時、お湯を注いだ時のアロマ、そして口にいれた時のフレーバー、この4つのポイントしかありません。
ポテトが出る可能性のある国のコーヒーでポテトフレーバーを気にする場合は、計量したコーヒーの香り、コーヒーを挽いた時の香りをチェックしてみることである程度判別できます。おかしな香りがしたらコーヒーを量り直し、挽き直しましょう。ポテトは計量したすべての豆ではなく計量したコーヒーの何粒かがポテトなだけなので、量り直せばなくなる可能性が高いのです。あまりにひどい場合は購入したお店に問い合わせ、交換してもらうなどの対応をしてもらいましょう。大抵の場合は快く対応してくれるはずです。

ポテトフレーバーはコーヒーの風味を損なうので多くの人が不快に感じるのですが、実際のカッピングの場面では、あまりにひどい場合を除いてはそれをないものと評価しているそうです。それはやっぱり、コーヒーを生産するのがとても大変なことを知っているからでしょう。上記のように、ポテトを判別して取り除くチャンスがいくつかあるので、その機会をうまく機能させれば、コーヒーそのものが持っているフレーバーを楽しむことはじゅうぶん可能なのです。

ことさらにポテトフレーバーが出ることを騒ぎ立てることなく、コーヒーを楽しむ気持ちを忘れずにいたいものです。

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