スペシャルティコーヒーの賞味期限 1/2

LINEで送る
Pocket

スペシャルティコーヒーの賞味期限 1/2琥珀色のウタカタ昨年末から頭の片隅でずっと考えていたことを記事にします。
少し長くなりそうなので、前後半で2回に分けて公開したいと思います。
2010年末、某コーヒーロスターからコーヒーを通信販売で購入しました。
豆を買うに至った経緯を順を追って説明します。
1.そのロースターは当初、海外で焙煎したものを輸入・販売していた
2.国内に焙煎工場を建設し、コーヒー焙煎拠点を作った
3.そして、国内で焙煎したコーヒーの販売を始めた

このコーヒーロースターは生豆の仕入元がもともとの海外の会社と同じなので、
日本に数あるスペシャルティコーヒーロースターでは手に入ることの少ない、
一風変わったコーヒー、傾向の違うコーヒーが楽しめるので、
私はこの知らせを好意的に受け取っていました。


ともあれまずは飲んでみたかったので、12月上旬、実店舗に赴きコーヒーを飲みました。
そのカフェラテは豆の焙煎度合いが正直言って深すぎ、焙煎臭を感じましたが、
質の高い酸味があり、けして破綻した味ではなく、従来どおりクオリティの高い生豆を使用していることが感じられました。
untitled

そこで豆を買って帰ることにしたのですが、そのときの実店舗の店員さんは、私がコーヒー豆に興味があり、ブレンドよりも焙煎の浅いシングルオリジンコーヒーが欲しい旨を伝えると、私の好みを尋ね、提案をするなど、なかなか感じのよい、感動的な接客をしていただいたうえ、コーヒーを試飲させてもいただきました。
そこで口にしたコーヒーは、実に魅力的な風味特性を持ったグアテマラで、私はそのコーヒーを購入して帰り、自宅で楽しみました。
このコーヒーは実は焙煎後1ヶ月と少し経過しており、開封後から飲み終えるまでの風味の劣化が激しかったのですが、その始まりは本当に素晴らしいコーヒーだったので、それでもおおむね満足のいくコーヒーでした。
その後の12月下旬、他のコーヒーも飲んでみようと思い、年末年始用にそのコーヒーロースターのウェブショップからコーヒー豆を注文し、自宅に届いてびっくり。
賞味期限(=推定焙煎日)が、前回のグアテマラと全く同じなのです。このときの注文はエチオピアとエルサルバドルでした。
何を意味するかというと、前述のようにこの焙煎日のコーヒーは、前回のグアテマラと同じく、到着した日から数えて、焙煎日から2ヶ月が経過しているということ。
グアテマラはそれでも1ヶ月と少し経過したところから飲み始めたのでまだ良かったのですが、その後の劣化はやはり早かったので、その劣化したコーヒーと同程度の劣った風味特性しか、これらのコーヒー豆は有していないだろうことは、容易に想像が出来ました。
わたしからすれば、これは信じられない事態です。
なぜなら、私が信頼し、コーヒーを購入するロースターさん達の多くは、発送当日もしくは前日、遠くても2~3日以内に焙煎したコーヒーを届けてくださることがほとんどだからです。ちなみに日本の場合、コーヒーの焙煎日ではなく賞味期限のみの表示なので、そこから逆算して焙煎日を推定している、という点を補足しておきます。
一部のお店では、焙煎方法、焙煎理論上の考え方から1~2週間経過した豆の場合もありますが、それについては理解した上なので、ここでは問題になりません。
<参考>
9月、10月のコーヒー
11月のコーヒー
12月のコーヒー、2010年のコーヒー

賞味期限とは、
“食料品を包装状態のまま所定の環境に置いた状態で、製造者が安全性や味・風味等の全ての品質が維持されると保証する期限を示す日時”
とされています。
しかしたとえ未開封だとして、2ヶ月前に焙煎されたコーヒーを飲んだことのある人はそうそういないと思います。
また、開封してからの風味特性の劣化が早いことは、容易に想像できるところでしょう。
なぜなら焙煎コーヒー豆は焙煎直後から揮発性の成分を含有し、またそれを空気中に放出し続けているのでそもそも密封したところで品質保全されるとは言いがたく、その揮発性成分のうちには、魅力的な香りの成分が多く含まれているからです。それが抜けてしまうと香りに乏しい、脂っぽい単調な風味になってしまいます。

私が問題にしたいのは、
■このロースターのコーヒーは、2ヶ月を過ぎると焙煎後のいわゆる「飲み頃」を完全に過ぎ、劣化した味になっているということ
■その焙煎後2ヶ月の豆を送ってきたこと
この2点です。
ほぼこれまで述べたような内容をメールにし、会社としての考えを問うた上、新しいものとの交換はできないか、と尋ねたところ「できない」という返答を頂いたので、やむなくこの商品は返品しました。
美味しくないコーヒーを進んで飲むほど私は馬鹿ではないし、
スペシャルティコーヒーを愛する者として、たとえ自宅で飲むコーヒーであっても、コーヒーの品質には誠実でありたいと思っています。
なぜなら、自宅でコーヒーを飲むのは私だけではないからです。
最悪自分だけで飲むのであれば勉強と思って飲むこともあるでしょうが、それはもうやりつくしているので私にはいまのところ必要ありません。
また、品質の劣化したコーヒーを自分の友人や同僚、まして妻に飲ませられるはずがありません。

この会社からのメールの回答によれば、
コーヒーの鮮度については今後改善していきたい、とのことでした。
スペシャルティコーヒーを自宅で飲む時は、できるだけ美味しいコーヒーを、その魅力を十分引き出せるうちに、十分引き出す抽出で、カップまで届けてやりたい、それが私の願いですし、それが豆を売ってくれたロースターさん達や、ひいては生産者の方々に対して誠実なあり方だと思っています。
まぁこの考え方は私のポリシーみたいなものなので、必ずしも万人に受け入れられるものではないことは承知しています。
しかし、ただ口に出すだけでなく私がコーヒーの品質に対してかなり重要な価値を置いていることは、このブログを読んでいただいている方には伝わると思います。
どうして焙煎後2ヶ月を経過したコーヒーを販売することが出来るのか、
私なりに考えてみました。
1.社内規定を遵守する会社である
焙煎後から4ヶ月、それがこの会社の掲げる賞味期限に関する規定だそうです。
何がなんでもそれは遵守するのがこの会社のやり方のようです。
2.コーヒーの品質について理解していないか、重視していない
考えたくはないですが、私の主張が受け入れられないところを見ると、
十分考えられそうで残念です。

3.コーヒー焙煎豆の販売動向が芳しくないので、売らざるを得ない
まだ開始したばかりなので、この線もあるでしょう。
しかしなればこそ、特にコーヒーの魅力に気付いてもらいやすいのは
シングルオリジンコーヒーなのだし、
せっかく他のお店にはないオリジンがあるのだから、
より自社の特徴を生かした戦略を考えて、コーヒー豆を売ったほうが良いと思います。

焙煎コーヒーは「加工食品」ですが、果たして上記のような態度が、
スペシャルティコーヒーを扱う事業者として消費者に受け入れられるものでしょうか?
このことについて、私は疑問を持っています。
Q.美味しいスペシャルティコーヒーを飲むには、何に気をつければいいのでしょう?

One Comment

  1. さんきち より:

    SECRET: 1
    PASS: bad3548be805e0551a88b44db4745fcc
    コメントは、はじめまして!です。
    いつも楽しく読ませていただいています。
    僕が主に豆を買っているロースターさんも、このタイプです。
    大きな工場で集中して焙煎して、小売はフランチャイズに送付もしくは通販という業態です。
    パッケージは、スペシャリティグレードの場合、ガス抜きバルブのついたアルミラミネート包装で、賞味期限の表示はありますが、焙煎日の表示はありません。
    ホームページによれば、COEでは、日本のロースターとしてはいちばん初期の方から継続して落札を続けているようです。
    値段ですが、COEの豆は、2,3位のものが200gあたり\1100弱。それ以下のものが\800~\900です。かなり安く売っている方だと思います。
    (1位のものは、さすがにありません)
    たしかに、焙煎日からかなり時間が経っていると思われる(賞味期限から推定)場合もありますが、僕は、このロースターさんを、良心がないとは思いません。むしろ高く評価します。
    ストリクトに味を基準にした場合、たしかにベストな売り方ではないと思います。
    しかし、COEの豆の素晴らしさを、より多くの人に知ってもらうためには、ある程度、価格を抑える必要があります。豆の廃棄分は価格に上乗せせざるを得ませんので、1週間とかそのくらいのスパンで廃棄していたら、とてもこの価格は維持できないと思います。
    ギークにとっては、納得いかない売り方でしょう。
    しかし、普通のコーヒー好きである私にとっては、十分、納得のいく売り方です。たぶんこのロースターさんは、会社が存続できるかどうか、損益分岐のギリギリの線で良心的な売り方をしているんだと思っています。
    ただ、やっぱり、焙煎日は表示して欲しいですけどね。/