日本代表、井崎英典バリスタ(丸山珈琲)。昨年のJBCチャンピオンです。
JBCではコスタリカ、エルバス・ゲイシャを使い、そのポテンシャルを
生かし切って優勝した井崎バリスタですが、WBCではサモラ農園のコーヒーを
使ってのパフォーマンスでした。
使用コーヒー:コスタリカ/サモラについて
サモラ農園は、昨年2012年カップ・オブ・エクセレンス(以下COE)の優勝農園。
実は、スペシャルティコーヒーに触れている方ならおそらく一度は耳にしたことの
ある、ブルマス・デル・スルキ・マイクロミルの持っている農園のひとつなのです。
オーナーはファン・ラモン氏。自身の農園のみならずコスタリカのスペシャルティ
コーヒーにおいて非常に大きな役割を担ってきた方です。
セントラルバリーという地域に位置しているのですが、標高は1,200mほど。
コスタリカには1,600m前後の標高があるウェストバリー、2,000m近いところも
あるタラスという地域があります。
一般的にコーヒーは標高が高いほうが品質が高くなりやすいのですが、
ファン・ラモン氏は“ブラックハニー”という生産処理によって、それまでの
コーヒーでは作り得なかった複雑で奥行きのある素晴らしいコーヒーを作りました。
COEチャンピオンに輝いたサモラ農園は、丸山珈琲さんのグループが落札されたので
日本で飲むことができたのですが、個人的には2012年でいちばん感動したコーヒーでした。
サモラ農園の“Umami”プレゼンテーション
サモラ農園のブラックハニープロセスによるコーヒーには、
その栽培方法、生産処理によって生まれる複雑なフレーバーがあります。
それを「うま味」としてジャッジ(=お客さん)に感じてもらおう、
というプレゼンテーションです。
ちょっと動画の編集がおかしいのですが、以下、彼のパフォーマンスです。
また、日本語の詳しい内容は、丸山珈琲オフィシャルブログで確認できます↓。
■2013年5月24日 | 丸山珈琲 Maruyama Coffee
“Umami”チャレンジに喝采を!
「うま味」という味は、甘味・塩味・苦味・酸味とともに「基本味」と呼ばれます。
■うま味 – Wikipedia
本来のうま味は、グルタミン酸やイノシン酸などによるもので、その受容体が
存在するのが明らかになったことで世界的に認知されるようになった味覚です。
■2013年5月24日 | 丸山珈琲 Maruyama Coffee
↑の記事で確認する限りでは、グルタミン酸やイノシン酸といったうま味成分の
話ではなく、どうやら甘み・酸味・塩味・苦みのトータルの印象で表現しようと
しているように見えますね。
このパフォーマンスを見た時、「ジャッジにうま味をわかってもらえれば、(準決勝に)イケる!」
と思いました。
本来のうま味は、「これがうま味である」と認知できるようになるまでその味に
触れる経験が必要で、しかもそれを好ましいものと感じられるようになるまで
にも、時間が必要なものだからです。
15分という短い時間、しかも多国籍のジャッジたち。
もしかしたらうま味、それもコーヒーに感じられるうま味を理解してもらえる可能性は、
良くて五分五分。その五分五分にかけて、チャレンジしていったその姿勢は、大きく
評価されていいものだと思います。
結果
残念ながら、井崎バリスタは準決勝へコマを進めることはできませんでした。
予選12位までが準決勝へ進めるのですが、順位は13位。
しかも12位のギリシャ代表と同点でした。
点数はこちら(pdf):■
同点の場合は、エスプレッソの点数が高いほうが上位になるのですが、そこで
ギリシャ代表のほうが上だった、ということのようです。
しかし、今年のWBCのメンツがすごすぎた、というのも一因だと感じています。
準決勝へ進んだ人たちの顔ぶれを見てみると…
・2011年のWBC2位のピータ・リカータ(アメリカ)
・2011年のWBC6位のジョン・ゴードン(イギリス)
・WBCファイナル常連で最高位3位、コリン・ハーモン(アイルランド)
・2011年の3位、マシュー・ページャー(オーストラリア)
他にもグァテマラ、エルサルバドルは、過去のWBCチャンピオン輩出国です。
ぶっちゃけた話が、今年のWBCは猛者だらけだったのです。
その中で12位同点の13位、本当に紙一重、初出場ということを考えれば素晴らしい結果です。
これだけのバリスタが勢揃いする機会もなかなかないでしょうし、メルボルンでの経験は、
井崎バリスタのステージを上げる、素晴らしい経験になったのではないでしょうか。
井崎バリスタ、お疲れ様でした!
そしてこれからの活躍に、ますます期待をしています。