イギリス、Square Mile Coffee Roasterのジェームズ・ホフマン氏のブログ:jimsevenで、とても面白い記事があったのでご紹介。
■Coffee descriptors ≪ ≪ jimseven jimseven
彼はアメリカのスペシャルティコーヒーロースターとスターバックスの「フレーバープロファイル」、コーヒーの味覚表現を取り出して、Wordleという、頻繁に現れる単語をクラウド(雲)状に表現して可視化するツールを用いて分析しています。以下はその結果。
いかがでしょうか。ジェームズが注目したのは単語の品詞。
・スペシャルティコーヒーロースターは名詞で表現することを好む
・スターバックスは形容詞・副詞で表現することを好む
この2点に彼は注目しているようです。私自身、英米語学方面の知識はあまり無いので、英語で味の表現をする際に名詞を使った表現か、形容詞・副詞を用いた表現かで、人間の感じるニュアンスの違いについては詳しくありませんが、日本語で考えた場合、名詞表現(チョコレート、リンゴ、オレンジ、フルーツetc…)はそのものをイメージするのに比べて、形容詞・副詞表現(チョコレートのよう、リンゴのよう、オレンジのよう、フルーツのようetc…)のほうが、“そういわれればそういうふうにも感じる”という、受け手側が妥協点を探りやすい表現になるのではないか、と推測しています。
私はカッピングをする時、フレーバープロファイルを英語で記述します。そして人に説明するときはそれをもとに、そのコーヒーのもっとも特徴的なところを抑えた上で、適宜形容詞や副詞を用いた表現にあらためて紹介することがほとんどです。私の記憶の範囲では、日本のロースターの中で、カッピングで用いる英語の名詞をそのまま商品説明に用いているショップは思い当たりません。日本語の説明と共に、英語のフレーバープロファイルを名詞で記述しているショップを、数件知っている程度で、他はほぼ、前述したような私の手法に近いやり方で、商品の説明をしているように感じます。
大事なことは、これはどちらが良くてどちらが悪い、というものではない、ということです。
おそらくこの違いを生んでいるのは、各社が想定している顧客の質の違いだろう、と私は推測しています。比較的広範囲のライトなコーヒー愛好者まで相手にするのであれば、より捉えやすい表現を用いることは自然です。またコーヒーのことをより深く理解している・理解したいディープなコーヒー愛好者が相手であれば、カッピングの現場で用いるような表現によって、そのコーヒーを感じてもらうことが出来れば、顧客の感動に直結するでしょう。私がSquareMileのコーヒーに抱いた感動は、まったくそれと同じです。
日本の市場が欧米と同じこういった動向を見せる必要は、個人的には、まったくないと思います。しかしよりコーヒーの風味特性を理解してもらうには、顧客に提示するコーヒーの味覚表現をどういう方向にもっていくか、ということは真剣に考えなければならないことでしょう。そんなとき、ジェームズの示したこの結果は、私にとってとても興味深く、示唆に富んだもののように見えました。
Thank you for your blog post,James!