シングルオリジンもいいけど、ブレンドもね

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シングルオリジンもいいけど、ブレンドもね琥珀色のウタカタシングルオリジンの記事を書いたので、じゃぁ次はブレンドでしょう!
ということで、コーヒーのブレンドについて、今日は私が考えていることを
書いておこうと思います。

The Good Grind. Coffee Package Design
The Good Grind. Coffee Package Design / zee16


 

スペシャルティコーヒー以前の「ブレンド」

スペシャルティコーヒー登場以前のコモディティコーヒーしかなかった時代の
一般的なブレンドの考え方は、いわゆる“欠点隠し”に近い側面がありました。
どうしても現れてしまうコーヒーのネガティブな印象を、違うコーヒーを混ぜる
事によって薄める、という考え方がまずひとつ挙げられます。
もうひとつは“足りないものを補う”という考え方。1種類のコーヒーでは
欠けてしまっているバランスを、その欠けた部分を補うもう1種類や、または
多種類のコーヒーを使って補って、バランスの良い味を作り出すものです。

前回のエントリのような「シングルオリジン」志向は、一面ではそんなブレンドの
考え方に対して反旗を翻すような形で生まれてきたもの、と解釈することができる
でしょう。
「混ぜなくても風味が豊かで、バランスが取れていて、美味しいコーヒーがあれば、
ブレンドしなくてもいいでしょ?」という意見は、それはそれで耳を傾ける価値がある
ものだと思います。

中には昔からずっと創意工夫を凝らして、ユニークで独自のブレンドを作る試みを
行なっている自家焙煎のお店もあります。そんなお店はいまでも「名店」と呼ばれて
親しまれていますね。

 

スペシャルティコーヒー以降の「ブレンド」

ブレンドづくりのアプローチ

その生産地独特のユニークな風味を持ったスペシャルティコーヒーが広まって
いくにつれて、ブレンドの考え方も変わってきました。それまで取られていた
“欠点隠し”や“足りないものを補う”といったアプローチだけではなく、ユニーク
な風味があるからこそ、組み合わせて1種類のコーヒーだけでは出せない複雑さや、
組み合わせることで新しいフレーバーを生み出す、というアプローチを取るお店が
散見されるようになってきました。

作りたい味のイメージがまずあり、パズルのピースをはめるようにして、使う
コーヒーや焙煎度合い、割合を調節しつつ、ブレンドを作り込んでいく、そんな
風にして作られたブレンドは、ブレンドに使ったそれぞれのコーヒーをシングル
オリジンで味わうよりもぐっと魅力を増している、と感じることがあります。

 

新しいブレンドの考え方

Ninety_Plus_Coffee
Ninety Plus Coffee

ここ数年で、さらに新しいブレンドの作り方が出てきました。
これまでお話してきたブレンドづくりは「焙煎豆」ベースのブレンドづくりでした。

アメリカの、“ナインティ・プラス”という会社は、「生豆」ベースのブレンド作りを
行なっています。「ネキセ」「ハチラ」「チェンべ」「パーシィ」「ジュリエット」
等々、それらの名前は生産地の名前でもなく、品種の名前でもなく、生産者の名前
でもありません。そのほとんどが造語で、しかもそれらはコーヒーの味のイメージに
よって名付けられているのです。複数の生産者のコーヒーが混ざっていることも
あれば、複数の生産処理のコーヒーが混ざっていることもあります。しかし一貫して
いるのは、名付けられたコーヒーのテイストプロファイルがしっかり再現されていること。

ナインティ・プラス社のコーヒーを口にすると、「コーヒーの味作りもここまできたか」
という感慨と、ゴージャスなフレーバーのコーヒーが多いこともあって、そのフレーバー
に完全にノックアウトされてしまいます(笑)。

 

これからの、あるべき「ブレンド」

一定以上のレベルのスペシャルティコーヒーが手に入りやすくなり、シングルオリジンとして
販売されているコーヒーの生産者の情報、またエクスポーター、インポーターまでも、知ろうと
すれば比較的簡単にその情報が手に入るようになってきました。自分たちだけがそのコーヒーを
使っているわけではないし、他のお店とどう差別化するか、と自家焙煎の視点で考えたとき、
差別化することができるのは焙煎と、ブレンドではないかと私は思っています。

焙煎は焙煎機(熱風か直火か半熱風か、または国産か海外製か)や焙煎プロファイルで様々な
個性のコーヒーを焙煎できますが、それですら一定以上クオリティを求めると、自然と選択肢が
限られてしまいます。
となると自分のお店の個性を真に発揮できるのは、ブレンドしかない、となるわけです。

店名を冠したブレンドや、季節・時期、さらには店舗を限定したブレンドは、わりと素直に思いつく
ところでしょうし、実際シングルオリジンのほかにそういったブレンドをラインナップするお店も
多く存在しますよね。ただ私が美味しいと思うブレンドに一貫しているのは、ブレンドすることで
新たなそのコーヒーの可能性を感じられて、かつネーミングから連想するイメージがはっきりして
いる、ということ。

ネーミングやそのコンセプトをしっかりと定め、作りこまれたブレンドは、シングルオリジンの
コーヒーでは得られないフレーバーや複雑さがあります。ブレンドする意図や、そしてその結果が
はっきりカップにあらわれていれば、私はブレンドする価値はあると思いますし、口にした人に
感動をもたらすカップになると思っています。

 

私は“美味しいコーヒーLover”

シングルオリジンでも、ブレンドでも、要は「美味しいは正義」ということになるでしょう(笑)。
「どんなコーヒーを扱うか」ということも店の個性でしょうし、「どんな焙煎をするのか」という
ことも、「どんなブレンドをするのか」ということも同じように個性だと思います。
ただし、それが飲んだ人にとって「美味しい」と思ってもらえることがまず大前提で。

いろんな好みを持った人がいるのは、コーヒーを飲む人はもちろん、コーヒーを売る人も同じ。
お店のコーヒーにはやっぱりそのお店の個性があってほしいし、いろんな個性のあるお店が
あったほうが、飲む人にとっても面白いと思うんですよね。

とかいいながら私がコーヒーを買う時はシングルオリジン8割:ブレンド2割くらいの割合なん
ですけども(笑)。だいたいブレンドは季節のブレンドをその季節に1回買うくらいなんですよね。
こういう話の流れになったので、来月はちょっとブレンド強化月間的な感じで、ブレンドを中心に
コーヒーを買ってみようかな、と考えています。

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