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Cup of Excellence [ カップオブエクセレンス ]とは、生産国各国(ブラジル、コロンビア、ボリビア、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、ルワンダ)で年1回行われている、スペシャルティコーヒーの品評会です。
国内での審査、国際審査員による審査を経てスコアづけ、順位づけをされ、全世界同時のインターネットオークションにおいて売買されます。
その売買金額はそのまま生産者に渡り、更なるコーヒーの品質向上や、農園の関係者の皆さんの生活改善に役立てられます。
カップオブエクセレンス・プログラムは生産者と消費者を結ぶ、素晴らしい品質を持ったコーヒーのための架け橋になっています。このプログラムをきっかけに、高品質コーヒーのマーケットが開かれてきた、と言っても過言ではないと思います。
その高品質コーヒーを正しく、客観的に評価するためのシートが、この画像のシートです。
Terroir CoffeeのGeorge Howell氏が作成したシートで、それまでに存在したSCAA(Specialty Coffee Association of America)のカッピングシートに改良を加えたものになっています。
ちなみにSCAJ(Specialty Coffee Association of Japan)、SCAE(Specialty Coffee Association of Europe)も、このCOEシートに準じた規格で、カッピングセミナーを行っています。
私もカッピングの際には、このシートを用いてカッピングしているのですが、今回のエントリでは、このシートの評価基準について、COEウェブサイトの、この画像出典のCupping Formページで説明されているので、それを基に、勝手訳ではありますが、日本語で皆さんに紹介したいと思います。
項目は左からサンプルナンバー、ローストカラー、アロマ、ディフェクト(欠点)、と続くのですが、点数の元になるのは0-8点(実質3-8点)の点数で評価をする8項目です。
それはクリーンカップ、スイートネス、アシディティ、マウスフィール、フレーバー、アフターテイスト、バランス、オーバーオールの8項目で、8点満点×8項目=64点満点に、素点36点(欠点があればここから点数が引かれます)をプラスした100点満点で、COE品評会のコーヒーは評価されます。
それでは原文と一緒に見ていきます。
■Clean cup: this is the basic starting point for coffee quality. Clean cup is complete freedom from taints or faults. It is the transparency necessary for a coffee’s terroir to shine through.
■カップの綺麗さ:これはコーヒー品質のための基本的な出発点です。 綺麗なカップは汚れや欠点がありません。 コーヒーのテロワールがはっきり分かる透明性が必要です。
+ purity free from measurable faults clarity
– dirty earthy moldy off-fruity
+(好評価) 測定できる欠点が見当たらないこと
-(マイナス評価) 汚れた印象、土のような印象、カビの香り、フルーティでない
■Sweetness: the sensation of sweetness correlates directly with how uniformly ripe a coffee was when harvested. Sweetness is not entirely dependent on how much sugar is in the roasted coffee, but also on other components which combine to create the impression of sweetness.
■甘さ:収穫時にどれだけ均一に熟していたか、ということと密接に関連しています。コーヒーの甘さは、コーヒーにどれだけ糖分が含まれているか、ということや、甘さが作り出す印象(フルーツやチョコのイメージ)にも依存しません。
+ ripeness sweet
– green undeveloped closed tart
+ 果物が熟した甘さ
– 未熟で、閉じていて、すっぱい
■Acidity: this is what brightens a coffee. It gives life. In wine it is often referred to as nerve (nervosit醇P in French), backbone or spine.
■酸味: これはコーヒーを輝かせるものです。コーヒーに命を与えます。ワインにおいては、神経と言われ、味わいの背骨、軸です。
+ lively refined firm soft having spine crisp structure racy
– sharp hard thin dull acetic sour flabby biting
+ イキイキしている、洗練されている、引き締まっている、背骨がある、爽やか、構造的、独特の風味がある
– 鋭い、硬い、薄い、無味乾燥、すっぱい、締まりが無い、刺激的である
Quantity of acidity is not necessarily related to quality. A judge must score the quality of the acidity in a particular coffee. As with wine, not all coffees should be notably acidic. It is rather the expression of that acidity, whether powerful or very mild, that is important: is the acidity harsh or overly tart? Is the acidity refined or tangy or does it have a pleasant snap? These are the kinds of questions the judge should ask when scoring a particular coffee’s acidity.
酸の強さは、質と関係しません。ジャッジは酸味の質を判定しなければなりません。ワインのように、すべてのコーヒーも酸味がきつくてはいけません。重要なのは、強さや弱さではなく、それがどのように表現されるかです。不快でしょうか?きついでしょうか?洗練されていますか?刺激的ですか?爽やかですか?こういった質問を、正しく酸味を判定するために、ジャッジは行うべきです。
■Mouthfeel: the tactile sensation imparted by a coffee. Mouthfeel can include the perception of viscosity, density, weight, texture and astringency.
■口に含んだ質感:コーヒーを口に含んだときの触感です。粘度、密度、重さ、きめ細かさ、収斂性を含めることができます。
+ buttery creamy round smooth cradling rich velvety tightly knit
– astringent rough watery thin light gritty
+ バターのよう、クリーミィ、丸い、スムーズ、豊か、ベルベットのよう、しっかり織られた編み物
– 収斂性、荒い、水っぽい、薄い、軽い、ざらつき
As with acidity, the degree of mouthfeel presence is not the same thing as quality. The judge must score the quality of the mouthfeel.
酸味と同様に、質感の強さは、質とは関係ありません。ジャッジは質感の質を判定しなければなりません。
■Flavor: this is a combination of taste (sweet, sour, bitter, salty and pungent) and aroma – or nose. This is where a fine coffee can truly stand out as an elegant, and even forceful, expression of place terroir. The judge must determine whether a coffee’s flavor profile is merely generic or a genuine expression of terroir brought out by the care of the harvester and the skill of the processor.
■フレーバー:これは、味と香りの組み合わせです。これはテロワールによるもので、これよって、コーヒーは本当に、上品で、時に力強くあることができます。ジャッジはそのフレーバープロファイルの表現が一般的であるか、テロワールや農園の収穫や生産処理の能力によってもたらされた適切なものであるのか、区別せねばなりません。
+ character intensity distinctiveness pleasure simple-complex depth (possible notations: nutty, chocolate, berry, fruit, caramel, floral, beefy, spicy, honey, smokey…)
– insipid potato peas grassy woody bitter-salty-sour gamey baggy vegetal
+ 強くほかと区別される個性、心地よさ、シンプルや複雑な深さ(ナッツ、チョコレート、ベリー、フルーツ、キャラメル、フローラル、たくましさ、スパイシー、蜂蜜、スモーキー、というような書き方が可能)
- ジャガイモ、味気ない、草、枯れ、苦味、塩味、すっぱさ、腐ったよう、麻袋、野菜
■Aftertaste: the lingering flavor after the coffee has been swallowed can either reinforce the pleasure derived from a coffee’s other attributes or it can weaken and even sabotage it. Does the coffee sweetly disappear or is there a harshness that emerges?
■後味:コーヒーを飲み込んだ後に残っている風味が、コーヒーの他の印象から得られた喜びを補強もしますし、容易に悪くもします。甘さが弱く、消えていきますか?不快な要素があらわれますか?
+ sweet cleanly disappearing pleasantly lingering
– bitter harsh astringent cloying dirty unpleasant metallic
+ 甘く、クリーンで、善い印象で長く続く
– 苦く、収斂性があり、あまったるい、汚れている、不快、金属臭
■Balance: is the coffee harmonious? Is something excessive? Is the coffee missing something?
■バランス::コーヒーは円満ですか? 何かが過度ではないですか? コーヒーは何か欠けていませんか?
+ harmony equilibrium stable-consistent (from hot to cold) structure tuning acidity-body
– hollow excessive… aggressive inconsistent change in character
+ 均衡して、安定している(熱いときから冷めるまで)、酸味やボディが構造的
– 何かが欠けている、何かが過度、キャラクターと調和しない変化
■Overall: does the coffee have an exciting complexity or is it a simple but very pleasing coffee? Does the cupper simply not like it? This category is the cupper’s personal call.
■総合評価:コーヒーに、おもしろい複雑さがありますか?それはシンプルで、しかし、非常に微笑ましいコーヒーですか? この項目はカッパーの主観的評価によります。
+ complexity dimension uniformity richness (transformation from hot to cold….)
– simplistic boring do not like!
+ 複雑性、広がりがある、一貫している、豊か(熱いときから冷めるまでの変化)
– 単純、退屈、好きじゃない!
■Final points: One way the coffee experience is truly different from wine is the perception of how it changes from hot to cold over a considerable amount of time. Most judge a coffee by their first impression. The first step to leaving the commodity world, however, is to discover delight in the elegant and slowly evolving transformations of the rare best coffees. Judges take care to explore each coffee presented at the Cup of Excellence潤銧 competitions in this way.
■最終的なポイント::コーヒーとワインの違うところは、長い時間、熱いときから冷めるまで、コーヒーの印象がどう変わっていくか、ということです。ほとんどは最初の印象で判断されます。しかしながら、コマーシャルコーヒーの世界を出ることへの第一歩は、高品質なコーヒーが、上品に、ゆっくり変化していく喜びを発見することです。ジャッジはCup OF Excellence品評会のコーヒーを評価するために、このような点に注意しています。
いかがでしたでしょうか。長文にお付き合いありがとうございました。
こういった評価項目をいちいち意識せずにプロファイルを記述していくには、やはり、ある程度の練習が必要です。日本では、SCAJのカッピングセミナーが唯一、フォームの正しい使い方、評価基準を学べる場所ではないかな、と思います。私もまだまだ勉強の途中です!