抽出方法なんて大したことじゃないんだよ、という考え方

投稿者: | 2012/10/29
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brewing caffiene
brewing caffiene / khrawlings

カップに注がれたコーヒーの美味しさを決定づけるものは一体何でしょう?

スペシャルティコーヒーが広まっていくにつれて、この問いに対して「生豆(なままめ)!」
と、業界内外含めて即答する方も増えてきているのかな、という印象があります。
スペシャルティコーヒー登場以前のコーヒーのトレンドはコーヒー生豆の品質そのものへの
こだわりというよりは、比較的抽出方法へのこだわり、そして焙煎方法へのこだわりを
中心に、コーヒーが語られてきたように感じています。

そしてスペシャルティコーヒーの登場とともに生豆の品質へのフォーカスが進み、
「そのコーヒーがどんなコーヒーなのか」ということを中心に語られるように
なり、今では私の触れるコーヒーの9割は、そういった生豆の来歴がはっきり
しているものにシフトしています。

ただ個人的にはどちらの考え方も、偏りすぎてしまってはカップのコーヒーの
クオリティを置き去りにし、ほんとうに美味しいコーヒーからは遠ざかってしまうように思います。

では、美味しいコーヒーはどうやって「美味しいコーヒー」たりえるのでしょうか?

抽出器具を使いこなそう

興味深い海外のブログ記事を見つけたのでご紹介します。
Extractions & Distractions – The Unimportance of Brew Methods

この記事の要点はこの部分。

find a place that brews good coffee and TRUST THEM.
Also, if you’re a barista, I highly recommend mastering a brewing device.
Dive into it. Push it to its limits.
Get really tasty coffee with at least two very different techniques.
And when you’re done with that one, move onto another and master that one.
That will be an education in itself.

いいコーヒーを抽出できる抽出方法を見つけて、それを信じましょう。
また、あなたがバリスタであるなら、抽出器具をマスターすることをおすすめします。
それに飛び込み、限界まで使い倒しましょう。
ほんとうに美味しいコーヒーを、すくなくとも2つの方法で抽出できるようにしましょう。
そしてそれをマスターできたなら、他のものを試し、マスターしましょう 。
それはきっと、いい勉強になるでしょう。

そう、どんな抽出方法であれ、その器具がどんな器具で、どうやったら美味しいコーヒーを
抽出できるのか、ということを 理解しておくことは、何より美味しいコーヒーに近づくひとつの方法で
あることは疑いありません。

そこから一歩踏み込んで、「こういう抽出であればこういうコーヒーが向いている」とか、
「このコーヒーはこれで抽出したい」といった考え方でコーヒーと付き合うことができると、
コーヒータイムが充実すること間違いありませんし、コーヒーを抽出する人間として
レベルアップしたことになるのではないかと思います。

 

生豆・焙煎・抽出、大事なのは?

個人的には、コーヒーの味に占める生豆:焙煎:抽出方法の割合は、
7:2:1くらいではないかと考えています。なので、最初の問いに対する私の
答えは、「高い品質の生豆を、好ましい風味特性をちゃんと引き出して焙煎し、
適切な抽出を行われたもの」という、身も蓋もないものになってしまいます(笑)。

どんなに生豆の品質が高くても焙煎を失敗してしまえば、どんなに完璧に抽出しても、
その風味はカップにあらわれません。
どんなに焙煎がうまくいっていても生豆に欠点があれば、カップにその欠点はあらわれます。
どんなに品質が高い生豆を完璧に焙煎したとしても、抽出がうまくいっていなければ、
その美味しさは決してカップにあらわれることはありません 。

だからどんな抽出方法でも、道具を使いこなすことで、いろんなものが見えてきます。
そのコーヒーがどんなものか、どんな焙煎をしているのか…

 

コーヒーを楽しんでみよう

ひとつのコーヒーを使って色々な抽出方法を試してみましょう。
そして、ひとつの抽出方法で色々なコーヒーを抽出してみましょう。
どれもきっと、ちがう美味しさのあるコーヒーになることでしょう。

満足いかないのであれば、コーヒーの量や挽き目、お湯の量や温度、
抽出にかかる時間等々、ひとつずつ変えてみて、より美味しいポイントを探りましょう。
そこで感じたことは、きっと次のコーヒーを抽出するときに役立ちます。

そんな風にして、コーヒーのある時間を過ごして欲しいなぁ、と思います。
美味しいコーヒーは、偶然の産物ではありません。
自分なりに、で構いません。ちょっとだけ、踏み込んでみませんか。

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