SCAJ実践カッピングセミナーに参加してきました

投稿者: | 2010/06/08
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先日の丸山珈琲さんのカッピングセミナーの翌日、5月27日に、SCAJ実践講座カッピングセミナーに参加してきました。
このセミナーは実は同じ内容のものが5月中旬に一度行われています。しかし応募者多数につき抽選となり、参加出来なくなった人が多く出たために、急遽この日に行われたという、まれに見る人気セミナーとなりました。
実際SCAJのカッピングセミナーも、初級セミナーに若いバリスタの方々の応募が殺到したりと、カッピングの世界も徐々に様変わりしつつある感があります。個人的には非常に歓迎できることだと思います。私は非常に中級以降のカッピングセミナーに積極的に参加したい一人です(笑)。
さてこの日なのですが、内容としてはこんな感じです。
[第2回 SCAJ実践講座カッピングセミナー開催のお知らせ]

午前10時~12時
各種の生産処理工程の講義、説明
午後1時~午後2時半
カッピングカリブレーション(4サンプル)
午後2時半~午後4時半
各生産処理工程6サンプルのカッピング及びセッション
(なお、当日はカッピング手順に関しての細かい説明は行いません)

実際は午前中に生産処理関連の講義と、ブラジルのコーヒーを用いての3サンプルでのカッピング、午後から生産処理工程6サンプルのカッピングでした。今回は生産処理ごとの違いについて細かく見るのが主体のため、オープンでのカッピングとなり、新鮮な体験でした。
※今回スペシャルティコーヒーの生産処理用語がたくさん出てきます。
補足のエントリを書くかもしれませんが、どこまで書いたものやら…と迷っています。
ご自分でお調べになるか、コメント等でもお答えしますので、
御気軽に聞いていただきたいと思います。
誤解を生むようなことは、私の本意ではありませんので…

harvest

写真は生産処理工程の講義での、ナチュラルとパルプトナチュラルのサンプルです。
左がナチュラルの乾燥状態(脱穀前)、手で二つに分け、パーチメントを割っています。
右がパルプトナチュラルのパーチメントです。パルプトナチュラルは付着した粘液質の影響で茶色がかっていますね。
午前中のカッピングは、ブラジルのグレード・生産処理違いで、NYC(コマーシャル、いわゆるブラジルサントス)、ナチュラル(スペシャルティ)、パルプトナチュラル(スペシャルティ)の3サンプルのカッピングでした。
生産処理の違いは、はっきりと出ていたと思います。

今回のナチュラルは豊かなマウスフィールと甘さ、今回は多様なアシディティの特性が出ていて、とても魅力的なコーヒーでした。エスプレッソにしてみたい!と感じました。
パルプトナチュラルは経時劣化も多少あったようでしたが、ナチュラルより少しすっきりとしていて、これはこれで魅力的なコーヒーだったと思います。

さて午後ですが、まずこの写真、これはニカラグアのある農園から頂いたサンプルで、
samples
1.比重選別で浮いたコーヒー
2.グリーンセパレーターを通らず、機械で果肉を剥がし、処理したコーヒー
3.パーチメントの比重選別で浮いたコーヒー
4.乾燥時、アフリカンベッドで視覚的な異常により取り除いたコーヒー
5.全てをくぐり抜けたスペシャルティコーヒー
6.1~5を農園の生産割合で混ぜたコーヒー
という6種類のサンプルです。

生豆の写真では何が違うかさっっっっっっっっっっっっぱりわからないですよね??
これらを見た目だけで判断することは不可能です。そして、これをカッピングします。
ホワイトボードの写真とともに、簡単に私の印象を書いておきます。
Result
1.比重選別で浮いたコーヒー
薬品臭がしました。

2.グリーンセパレーターを通らず、機械で果肉を剥がし、処理したコーヒー
未熟さからくる酸味の単調さ、渋味がありました。

3.パーチメントの比重選別で浮いたコーヒー
すかすかで中身のない印象がありました。

4.乾燥時、アフリカンベッドで視覚的な異常により取り除いたコーヒー
クリーンカップに異常あり、渋味もありました。
個人的にはこのコーヒーのカップは衝撃的で、
やはり果肉が剥がれきらないということは、
コーヒー豆が変質してしまっているのではないか、とのお話でした。

5.全てをくぐり抜けたスペシャルティコーヒー
素晴らしい!の一言につきます。
COEに入賞するクオリティが充分ある、という素晴らしいカップです。
残念ながら本番では入賞出来なかったようですが…

6.1~5を農園の生産割合で混ぜたコーヒー
悪くないですが、5番のスペシャルティコーヒーに比べると、
やはりクリーンカップやフレーバー、バランスで劣る印象でした。

結果としては、やはり、という感じではあるのですが、
それでもこういうコーヒーをカッピングする機会はなかなかないので、
このセミナーに参加した元はとった!という印象充分でした。

総合的に見て、やはり同じ農園のコーヒーなだけあって、
6つのうち5つのサンプルに共通して、私はCitric、柑橘系のアシディティを感じました。
これはおそらく、農園としてのテロワールから来るものではないか、とは講師の先生のお話です。
事実、この農園はテロワールにこだわって、ニカラグア国内でもいちはやく生産処理のための機械や、醗酵槽の改良、アフリカンベッドの導入など、実践的な取り組みをいくつか行っているようです。素晴らしいと思います。

非常に有意義なセミナーでした。
この場を借りて感謝申し上げます。
スペシャルティコーヒーのためには、生産処理ももちろんですが、そこにいたるまでの過程がとても重要で、品質向上のためには、金銭面の問題もあったり、なにより農園主の情熱も重要で、様々な工程、様々な人の手、人の想いを通って、手元のカップまできているんだなぁ、ということを再確認出来ました。
美味しいことに言葉はいりませんが、その美味しさには理由があるのだなぁ、と…

SCAJ実践カッピングセミナーに参加してきました」への2件のフィードバック

  1. 豆屋

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    ウタカタさんの記事素晴らしい!
    しかし、流石は丸山珈琲さんのカッピングセミナーですね。
    内容がとても濃い。
    昨年、シモサカヨウコマルシアさんのカッピングセミナーに伺いましたが、
    やはりカップの力量を鍛えないといけませんね…
    ちょこちょこ拝見させていただきます。

  2. 雨宮1224

    SECRET: 0
    PASS: 1856809757582aabed06a0303a1e30c3
    私がカッピング技術のたたき台にしてきたのは、SCAJのカッピングセミナーですね。
    日本でCOEに即したカッピングセミナーが受けられるのはほとんどここしかないと思います。
    ちなみにこの記事はSCAJのセミナー、丸山珈琲さんのセミナーは一つ前の記事です。
    カッピング関係色々と書いているので、なにかご質問などありましたら御気軽にどうぞです!

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